薬膳の効果を最大限発揮するには


薬膳とは何か?
教科書の引用をするならば
「中医学(中国の伝統医学)の理論に基づいた料理」

ですが、

もっと細かく追及して
何が重要かというと

「何を解消したいのか?」
「体質に合っているのか?」

まずは目的が何なのかをハッキリさせることがポイントです。

これは国際薬膳師 、国際薬膳調理師 の試験においても厳しくチェックされる部分です。

例えば
豚肉の生姜焼 という料理がありますが

たまに「冷え症を改善」と解説している人を見かけると

この人は薬膳をどこまで理解していらっしゃるのかな?と感じることがあります。

生姜は温性
発汗作用がありますが

豚肉は平(涼)性
滋陰潤燥と益気
(陰を補い、潤いを与え、乾燥を解消する、気を増やす)

という性質があるので

「冷え症の人が豚肉を食べるにあたって、生姜を加えることによって体が冷え過ぎるのを防ぐ」

という目的があるのであれば、理解できます。

豚肉は、本によって平性と書いている本もあれば、涼性と解説している本もあるので迷いますが、

私は 本草薬膳学院 で、
涼性に限りなく近い平性と習いました。

なので豚肉は、どちらかというと体の熱を下げる性質が少しあるようです。

薬膳を勉強していると、本によって書いてある事が微妙に違うことがよくあります。

それは、参照している中医学の古典(黄帝内経 、食療本草 など)によるので、どちらも正解であると思います。

私も薬膳処方を考える上で、本を参考にする場合は、出典元が何なのかを見てから考えます。
基本的には、本草薬膳学院の教科書(#辰巳洋 先生の著書)を参考にしています。

あとは
「使用する食材の量」もポイントです。

例えば、豚肉が1:生姜が9の割合ならば

「冷え症を改善」の目的に合っていると思います。

割合が逆だと冷え症の改善としては弱いです。

次に「調理方法」も考慮します。

例えば #タケノコ は寒性、体の熱を鎮めたり、潤い不足気味の体質における便秘を解消する作用がありますが、

「タケノコの天ぷら」となると疑問です。

油で揚げるというのは、160度~200度近くの高温で調理するということ。
それだけの熱を加えると、食材の良い部分を打ち消してしまいます。

暑がりの体質の人や、便秘を解消したい人は煮る、蒸すなどの調理法をおすすめします。

冷え症の人がタケノコを食べたい場合は、焼いたり揚げたりしても良いと思います。温性の食材と組み合わせるのも良いです。

本当に薬膳の効果を発揮したいならば、他には習慣や嗜好も気にした方が良いです。

例えば、
冷え症を解消したいので
毎日生姜を積極的に食べていますが、全然良くなりません。
という人がいます。

よく聞いてみると、
健康の為にバナナも毎日食べています!とのこと。

バナナを食べることは悪いことではないのですが、体を冷やす強い作用があるので、
好きなものを食べるのは止めろとは言いませんが、冷えを解消したいなら、バナナを食べる量や回数を減らすことから始めてみましょうとアドバイスします。

他には
帰経(どの臓腑に効果を発揮したいのか)等を考えています。

正直に言うと
私自身も薬膳を勉強したばかりの頃は、この部分をよく理解していなかったので
今考えると、これはどうなんだろう…?というメニューもあります。

ただ、薬膳を勉強しはじめたばかり、意識し始めた人へ対して
「◯◯の効果がある食材を食べやすい形で日常に取り入れてみよう」
という目的があるのであれば

それはそれで正解だと思います。

なので、
薬膳レシピ監修のお仕事を受ける際は、
読者はどんな人なのか?を考慮します。

薬膳の勉強は本を読んだだけ、ネットの情報を見ただけ等、独学のみでは難しい部分があります。

しっかり本気で学びたい人は
信頼できる良い師を探して
学ぶことをおすすめします。

薬膳教室木の芽

国際薬膳師 藤井杏紀奈 本草薬膳学院卒業。 福岡市内で薬膳セミナー、レシピ提案、中医薬膳学に基づいたパーソナル体質チェック&食事アドバイスをしています。 約4000年前から研究されてきた学問です。 めまい、冷え、むくみ、お腹が弱い、肌荒れ、生理痛や更年期の症状がつらい、毎日元気!いつもキレイだねってほめられたい! 自分の為だけでなく、困っている誰かの為に役立つ情報を共有したい。と考えています

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